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分野の垣根を超えて 縦割りから使命感を持ったチームへ

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 菅首相の先日の会見、総理になられて初めてご自身の言葉で話されたように感じました。 その中で厚労省や各自治体の首長との連携の難しさ、縦割りの弊害についても言及されていましたね。 総理になる前からそうした体質であることは十分理解されていたでしょうから、この有事においてだから仕方なかったでは済まないことですが。 ただ縦割りの問題は多くの業界、多くの組織でも多かれ少なかれあるのではないでしょうか。 ランドスケープというフィールドで土木、造園、都市計画、環境なんかの垣根を飛び越えて空間づくりできればと常に考えています。 逆に言えばランドスケープというフィールドは一人で全てを専門的に語るには幅が広すぎて、必然的にチームを組む場面が多くなります。 そのチームが縦割り体質では意味がないんですね。 全員が自分の受け持ったパートに使命感を持ったプロ意識の高いチームでないと。 さて 自分にその資格があるのか(笑)。 日々勉強しかないですね。

'囲う'

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 ゾーニングという言葉を聞かれたことあるかと思います。 ゾーニングは動線の流れを確保しながら空間を目的や周辺環境との関係によりエリア分けする事ですが、時に繋げるだけでなく'囲う'という事をします。 ゾーニングではパブリック、セミパブリック、そしてプライベートゾーンとザックリ区分けしますが、'囲う'ことでプライベートな性格が強くなります。 また囲われることでそこに収まるコンテンツの一つ一つにしっかり目が行くようになります。 生態系の部分では囲うことで安心して使える植物というのもあります。 緑の回廊とよく言う様に緑が連続する事で動物や虫たちの活動が増え生態系が豊かになる一方、逃げ出すと厄介な植物もあります。 環境省、農林水産省も侵略性が高く生態系に被害を及ぼす危険性のある外来種を特定していますが、園芸種として流通しているものの中にも同じカテゴリーに属して注意の必要な植物は数多くあります。 安易な気持ちで植えたらあっという間に広がってコントロール出来なくなったという事はあってはなりません。 それでもどうしてもという時はやはり'囲う'ことが有効に機能します。 誰に見せる訳でもない、自分だけのプライベートな空間。 みんな好きですよね。 そんな場所。

material『植栽』と『緑化』の間

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 前回の投稿で『植栽』と『緑化』について取り上げました。 そこで両者の使い分けの意味についてお話ししましたが、個人邸でも公共の場でも、その間で良い材料があればと感じることはよくあります。 つくり込み過ぎては後の管理が心配だし、だからといっていかにも『緑化』ではあまりに味気ないしという。 そんな場面に有効なものの一つをご紹介します。 這性のハーブを高密度に育て、マット状にしたハーブマットと呼ばれているもの。 以前個人邸で使用した施工例です。 施工前はこんな感じでした。 別のお宅の例です。 施工前がこうでした。 芝生に比べるとイニシャルはかかりますが、元々野草に近いハーブだけあって管理手間は圧倒的に楽です。 踏圧にも強く、踏むとフワッとハーブの香りが広がります。 多花性でその時期には一面小花を付けますので、あまり広い面積に使うとくどくなりますが、これくらいの場面で大変重宝しています。 『植栽』と『緑化』の間にハーブマット いかがですか。

『植栽』と『緑化』

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 以前『面で捉える』というタイトル記事をあげたことがあります。 『植栽』と『緑化』は同じ緑を増やす行為でも結構違うものとして自分は捉えています。 『緑化』は文字通り緑の量を先ず増やすこと。 その目的の主としては緑化率という指標があるように街の中にまずグロスで緑量を増やす。 その事が街に潤いをもたらし、環境に寄与し、引いては人の生活の質を向上させるという考え方。 『植栽』という言葉にはもう少しデザイン性、修景、個々の植物への高い意識といった、量よりもテーマやストーリー、思い、なんかが込められているように感じます。 ランドスケープの植栽設計ではその『植栽』と『緑化』を場面に応じて使い分けることは結構大きな意味を持つと考えます。 それは『面で捉える』にも繋がりますが、より複雑なデザインの『植栽』と単植で面をつくる『緑化』のコントラストがあって互いを引き立てあうというデザイン的なメリットと、シンプルなデザインは概して管理を容易にするという維持管理上のメリットがあります。 思いも込めて行う『植栽』は逆に言えばその思いがあるからキープできるもので、自分事となりづらい公共の場面などでは設計者が一方的に思いを絵に注入しても受け取る側が事務的な対処しか見せないのであれば、その思いをしっかり理解してもらう努力をした上で『緑化』とのバランスを測ります。 環境を考えても、人々の心的作用や暮らしを考えても、コンクリートやアスファルトに囲まれて暮らすのと緑と潤いの中で暮らすのどちらが豊かかは明らかですよね。 場面に合わせて緑を増やす活動、続けていきたいと思います。

コロナ疲れと価値観の見直しと

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思うように人とも会えず、外にも気軽に出かけられなくなって1年半以上。長過ぎますね。 政府や都知事さんに言いたいことは山ほどあるし国民としてそこは声を上げなければいけないと思う一方で、個人個人の価値観やライフスタイルを見つめ直す良い時間でもあると思います。 今回のコロナも、ゲリラ豪雨も、異常な暑さも、あちこちにクマが出没するのも、発端は全て人の行為行動にあります。 日々植物を目にする暮らしをしていますが、植物にはコロナも何も関係ありません。 外出自粛も行動変容も関係なし、日々の暑さに耐えながら淡々といつも通り過ごしています。 このシンプルさから学ぶことは多いです。 人と人が一度ぶつかるとなかなか折り合いがつかないところ、間に植物をはさんでまとまるという事もこの仕事していると何度も経験します。 便利すぎて変化が早すぎる今、この長いステイホームは一度立ち止まって考えろというメッセージなのかもしれませんね。

Before-After 街中でのバッファ(Buffer)の意味

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ランドスケープの世界にもバッファという言葉があります。 元々'緩衝物'を表す英語でITなど他のジャンルでもそれぞれの意味で使われています。 ランドスケープの世界ではゾーンとゾーンを区切る役割、特に喧騒、視線、風、雪などの影響を和らげて落ち着ける空間を確保したい時に植物でつくる柔らかな壁を意味します。 以前施工したお庭です。 施工する前の様子です。 街中では周辺環境が変わっていく速度も早い。 住み出した頃何も無かったところに10年もしたら周りにマンションが立ち並ぶということもよくあります。 じゃ引っ越そうかとはなかなか簡単にはいきません。 バッファと呼ばれる緩衝緑地はこういう場面で非常に有効です。 上の写真にある隣地境界に植えられた常緑樹は、今充実して隣のマンションや道路からの視線をしっかり遮ってくれています。 コンクリートの壁などを建てれば威圧的な印象となり近隣との関係もギスギスしかねませんが、緑の壁は柔らかな仕切りをつくってくれます。 どうしても人工物は0か100かになりがちです。 落葉や越境などのトラブルを避けるため樹種の選定は慎重にする必要がありますが、自然素材はその0と100の間を埋めてくれる柔軟性があります。 ご近所付き合いというのは昨今失われつつある日本の素敵で粋なカルチャーです。 角の立たない空間づくり、街中でも安らげる空間を確保したいとき、是非緑の柔らかな壁を検討していただきたいと思います。

Before-After QOLの向上を目指して

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植物との触れ合い方は様々です。 中には植物の成長のスピードに圧されて疲れてしまう方もいます。 できれば身の丈に合った付き合い方を見つけて、その事で生活の質が高まることに繋がってほしいし、そのお手伝いをしたいと思っています。 以前施工したマンションの1階部の前庭になります。 施工前はこんな感じでした。 ご夫婦で住んでおられるこのお宅は、一面覆う植物の勢いに疲れてしまっていました。 病気された事もあり、それでも植物は好きで、どうバランスを取ったら良いのか相談を受けました。 庭のデザインをする時には必ずクライアントがその庭に佇む姿をイメージして絵を描きます。 ただきれいで、でも落ち着ける場所がないという庭をそのまま綺麗な状態で維持するのはなかなか難しいことだと思っています。 スケールの大小は関係ないんですね。 お庭改修した後、しばらくしてからも感謝していただいている様子を伝えていただきました。 一番うれしいことです。 数字にすることが難しい(数値化する努力は必要ですが)恵み、力が植物には確実にあります。 ちょうど良い付き合いを見つけて量より質、QOLの向上につながる空間づくりにこだわりたいと思っています。

絵の表現と成長する植物と

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 空間設計とは当然現状と異なるものを提案してクライアントの思いとすり合わせることになります。 クライアントに夢を感じてもらえずにプロジェクトが進むことは決して良いことではありませんが、だからといって現実から外れた絵を描いてはトラブルになりかねません。 植物を使っての空間づくりはどの段階の絵を描くか、ひとつポイントになります。 変化と成長を続ける世界です。 自分は2〜3シーズン先の絵を描きます。 その後の成長は言葉で伝えます。 京王プラザホテル札幌でのプレゼで描いた絵です。 そして施工直後の写真。 そして2年後。 草花は動き出しも早いですが、樹木は新しい環境に馴染んで動きだすのに1シーズン以上かかります。 なかなか納得いく絵が描けることはありませんが、関係者全員が同じビジョンを持つ、一つのきっかけになるような絵が描けるように精進したいと思います。

地に根差すデザインを

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 植物を扱う仕事もさまざまなステージがあります。 育てる、計画する、デザインする、施工する、管理する。 幅が広過ぎて全てに精通するには死んでも勉強ですね。 同じデザインするでも地植え、コンテナ、ハンギング、切り花、生花、リースなどでは全く異なる考え方、センス、技術が求められます。 比較してどうこうではなく別物です。 自分は植物を使っての空間デザインがメインですので、その中では地植えが中心となります。 地面に植えることを前提とする以上、取ってつけたようなものでなく、地に根差すデザインを目指したいと常々思っています。 建築からスタートして植物の世界に転身したきっかけのひとつに、映画『天空の城ラピュタ』がありました。 マジメな話(笑) その中でシータの言った '土から離れては生きられない'  というセリフ。 なかなか建築業界にい続ける姿をイメージできず苦しんでいた自分を見事に貫いてくれました。 土に根付いて生きられる空間  これからもこだわっていきたいと思います。

Before-After 緑の修景4

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 札幌は最高に気持ちの良い季節になりました! 緑の濃さと差し込む光のバランスが本当に綺麗です。 街中の暮らしでもそうした景観をつくり出すことは可能です。 施工前はこんな感じでした。 なかなか奥行きを取るだけの敷地に余裕のない街中ではいかに立体感を出すかで緑の深みが変わります。 植物は毎日表情を変えます。 晴れた日、曇り空、雨の日それぞれの美しさがあります。 四季の移ろいをはっきり感じられるのは日本の大きな魅力の一つ。 なるべく身近に感じながら暮らしたいですよね。