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雪と常緑の樹

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ある程度の広さが取れる植栽設計をする時、結構な割合で常緑樹を入れます。 程度はその場面と敷地の広さなどによって色々ですが結構な割合で。 常緑樹と言っても様々ですが、ここ北海道には照葉樹を含む、いわゆる常緑広葉樹というものは数えるほどしかありません。 必然的にここで常緑樹というとクリスマスツリーのような針葉樹や、その組み合わせで魅せるコニファーガーデンをイメージします。 単純に見た目も存在感も好きなんですが、きちんとした理由がいくつかあります。 株立の広葉樹で雑木のような庭をつくるのも好きですが、その一角に常緑樹が入るととたんに空間が締まります。 シンボルツリーとしてもランドマークとしても十分な存在感と鑑賞価値があります。 多くの園芸種、改良種があり葉色やテクスチュア、何十メートルの高木から地面を這うものまでその組み合わせは無限です。 葉は更新しますが、落葉は足元に落ちるだけで落葉樹のように飛散して迷惑かけることもありません。 機能的にも遮蔽、防風、防音、防雪、バッファ、エッジ、ボスケと多くの役割を担います。 でも自分が常緑樹を扱う一番の大きな理由は、やはり雪国だからということだと思います。 先に述べたように北海道では常緑広葉樹というものがほとんどありません。 すなわちほとんどの樹木が秋に葉を落とし、冬は枝のみとなります。 しかも半年近くの間。 常緑針葉樹はそこに緑を残してくれる、雪国ではそれが何よりありがたいんですね。 そこに常緑樹があるだけでその空間の植物のシーズンが長くなり、濃い緑の上に雪が積もる景色は雪国ならではの本当に美しいシーンです。 地域ならではの植栽プランを大切にすることはそのまま地域ブランドにつながる話です。 それを原風景としてその土地を離れても心の景色として大切にされてる方は少なくないでしょう。 その土地に根付くような植栽計画、その意味の大きさと責任を忘れる事なく精進したいと思います!

雨水排水と造成設計

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 外構の設計で非常に難しく、そして大事なものに雨水排水の計画があります。 大規模災害が年々増え、ゲリラ豪雨の度にマンホールから水が吹き出す映像をニュースで目にすると、いわゆるグレーインフラの限界を強く感じます。 グレーインフラは戦後もしくは高度経済成長期につくられたインフラで、その多くは50年以上経ち、老朽化や維持費が問題視されています。 ランドスケープの世界に'涵養'という言葉があります。 水をゆっくり土中に浸透させ地下水に溜めることを言いますが、いわゆるこうしたグレーインフラでないグリーンインフラでなるべく雨水を外に出さず場内処理するよう努めることが求められるようになりました。 グレーインフラとグリーンインフラのハイブリッドな形を模索せよという事ですね。 全く異論はありません。 その通りだと思いますし、そのためにも都市計画、建築、土木、造園というものに横串が刺さることが大切です。 ただ忘れてならないのは、グレーインフラの限界には気候変動や老朽化に加えもう一つ大きな要因があります。 それはライフスタイルの変化。 グレーインフラが出来た頃の水理計算とは状況が違います。 土はアスファルトで覆われ、川は暗渠となり、森は植林により地耐力のない単一植栽が広がりました。 ’涵養'するためには一度土が雨を受け止める必要があります。 受け止められないんですね 今は。 コンクリートやアスファルトに降る雨の音は硬い音ですね。 土の上に降る雨は優しい音がします。 子どもの頃聞いていた音と違うのではないでしょうか。 五感に優しいものは計算するまでもなく人にも環境にも優しいのでしょうね。

宿根草 -perennials-

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 プランの中で宿根草を積極的に提案する方です。 それはまちづくりや再開発のレベルから個人のお庭まで、あらゆる場面において共通しています。 同じ植物の世界でも得意とするところ、そうでもないところはあるもので、どうしても自分の自信のある部分に偏った絵を描きがちですが、やはりそれでは視野がせまくなります。 だいぶ変わってきましたが、自分が職人の修行を始めた頃は造園屋といえば大きな樹や石を動かしてなんぼという意識があり、草花は最後できた隙間に植えておく程度の存在でした。 逆にその後女性ガーデナーとして多くの方が活躍されるようになると、今度は花が主役で樹木や石は申し訳程度という場面も目にするようになりました。 どちらも必要なんですね。 そしてそのバランスは場面や目的、クライアントの思い、その後の維持管理なんかから判断することであって、得意苦手で判断することではないんですね。 これからは益々まちの事を自分事として市民住民が積極的に関わっていくことが求められます。 その時に宿根草というのは最高の素材です。 身近で、適度な労働で、会話が弾みやすく、継続的に関わってゆける。 まちを歩くとあちこちで宿根草を目にする。 そんな街になることに少しでも貢献できればと、これからも積極的に宿根草提案していきます!

全国都市緑化フェア

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花のまちづくりで知られる恵庭市ですが、その道の駅に はなふる という広大なガーデンがグランドオープンしました。  去年、一昨年とその一角のガーデンハウス周りの外構・植栽設計を担当させていただきました。 ガーデンハウスを担当する建築設計と完全に一つのチームになって当たったプロジェクトでした。 今週の様子です。 草花はシーズン終わりかけで、まだ植えられて間もないですが、来春から一気に勢いつけて賑やかになると思います。 恵庭市は来年の都市緑化フェアのメイン会場となることが決定しています。 長く花をテーマに、まさに官民協働で活動し続けてきた恵庭市さんにふさわしい晴れ舞台です。 来年6月末から約一ヶ月間。 楽しみです!

北国のこの時期最適な外仕事

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 ここ札幌は11月になるといよいよ冬の一歩手前という雰囲気になります。 テレビでは冬タイヤや暖房機、除雪機などのCMが目立ち、街中でも冬囲いと呼ばれる作業をする造園業者の姿をあちこちで目にするようになります。 冬の準備を進めることがメインになってくる北国の外仕事で、もう一つこの時期が最適で、しかも冬のためではなく雪が融けた春を想像しながらする夢ある作業があります。 それは土づくり!! 今日の現場の様子です。 来春にバラと宿根草を植えるための土づくりです。 バラの植わる場所は念入りに、改良材もタップリ入れてしっかり攪拌。 なぜこの時期が最適か。 植物の活動が緩やかになり、植物たちがストレスを感じづらいというのが一つの理由。 もう一つは新たに入れた土が、一冬雪の下で漉き込まれた改良材や周辺の既存の土とじっくり馴染むから。 この雪の下でゆっくり寝かせるのがいいんですね。 糠床に漬けたダイコン的な? これで来春へ向けての準備万端、あとは春への夢が膨らむのみです。 見栄えのする地上部に意識がいきがちですが、大切なのは根っこです。 その根っこを育てるのは土! 土が生き返る姿を見てこちらが元気になりました。

落葉広葉樹のみに与えられた美しさ

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 長くお世話になっている法人の今日の様子です。 すっかり色づきました。 紅葉というのは樹木が冬支度をする過程で起こる現象です。 寒くなると養分をつくることがしんどくなり、流れをオフにすることで残った養分が変化したり、今まで濃い緑色に隠れていたものが表に現れることで紅や黄色に色づきます。 葉を落とす落葉の広葉樹のみに与えられた美しさなんですね。 寒暖の差があるとさらにはっきりと色が現れます。 常夏の良さもありますが、日本特有の、四季がはっきりしているからこそ見られる美しさもありますよね。 温暖化が進んできれいな紅葉が見られなくなる そんな悲しいことには出来ませんね。

外の空気を吸いたくなる空間へ

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 建築との関係、内と外との繋がりというのはゾーニング、動線計画を考えるときには特に強く意識します。 内にいるときも外を感じられる、思わず外に出たくなる、そういう空間好きです。 一時 福祉住環境の一環で介護の勉強をしていた事がありました。 そのプログラムの中には実習もあって何日間か実際に施設で働かせてもらいましたが、その施設から見える外の景色には全く内と外のつながりを感じませんでした。 申し訳程度にある庭は手を入れられず、全ての窓は事故が起こらないよう常に閉ざされていました。 スタッフさんが悪いんではないんです。 みなさん手一杯の仕事を抱えて、それでも笑顔で働いていて、それは尊敬に値します。 認知の方もいるので事故を心配するのも当然です。 ただそういう施設の利用者の多くは土に触れるのが当たり前で暮らしてきたであろう年配の方です。 理解はしても寂しさは感じました。 たとえ実際に外で過ごすことが難しくても、なんとなく気持ちは外を感じて解放的になれる。 できれば最後の最後まで。 そういうのいいですよね。

物価本と公共設計

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物価本と呼ばれるものがあります。 建築や土木業界の資材や労務の適正価格を市場や実態調査から算出したもので、公共の設計では積算のベースになります。 その中には植物についての資料もあります。 健全なマーケティングを維持するのに適正価格を示すことは大切ですし、お役所がそれを基準にモノを考えることも当然だと思います。 ただ間違いないからとその中で全て収めようとすると、出来上がるものは面白みに欠けた無難なものになりがちです。 植物でも物価本に載っていない魅力的な植物は山ほどあります。 しかしそれを使って問題ないだけの、いわゆるエビデンスというやつをお役所に納得してもらうのはなかなか骨が折れます。 公正に安全にという一方で、そのことが監督する立場を窮屈なものにして、より良いものが活かされないということは避けたいです。 ある程度の質が約束されたものを早く大量にという時代は終わりました。 個性、その地域ならではのアイデア、他業種との協働など、当時はそれほど重きを置かれなかったものが計画に反映できる、そこでのリスクマネジメントも含めた新しい仕組みが必要ですよね。

ウッドショック

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 ‘ウッドショック’という言葉聞かれたことあるかと思います。 オイルショックになぞらえてこう呼ばれるこの現象、文字通り木材の供給が需要に追いつかないということですが、国土の3分の2が森林のこの国でなぜ木材が足らないということが起こるのでしょう。 ウッドショック自体の原因はコロナ禍での住宅ニーズの高まりや住宅ローン金利の低下以外にも、山火事や、中には中国の買い占めによるという声も聞こえます。 大元の原因はさておき、国内において考えれば今の輸入材に頼りきった仕組みや国内林業の衰退、手入れされず所有者も不明な山林、木材をとるためのスギやヒノキの単一植栽により地滑りを起こしやすくなった人工林、と単なる木材の不足では片付けられない多くの問題の現れではないかと感じます。 ヨーロッパの街並みが美しいのはその土地から削り出された石を技術とセンスで人の住む空間にデザインしているから。 日本はそれを 木 でやってきたわけです。 国内産の木が丁寧に扱われ、デザインされた日本の街並みは、国内外問わず必ず人を惹きつけます。 そこに需要が生まれ、国内の林業が活発になり、森林が正しく管理され、美しい街並みが広がる。 そういう日本であったならウッドショックとは無縁であったように思います。

雪国ならではの植物の魅力とは

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 北海道の地方都市での植栽設計に携わることがあります。 この雪の大地で植栽プランを考える時に必ず考えるのは植物の耐寒性、ハーディネスゾーン(Zone)です。 ハーディネスゾーンとは年最低気温の平均で地域を段階に分けたもので、例えばZ(ゾーン)5と表示された植物なら5のゾーンより寒い地域では生育は困難という判断の一つの指標になります。 もちろん同じエリアでも環境によって寒さは違いますし、海風が当たる場所や屋上に植える場合など、最終的には場面ごとに総合的に判断します。 愛知県で生まれ育ち、植物の勉強は北海道に来てから始めましたので、一年の半分近くオフシーズンの雪国で植物の世界を語る意味を見出せない時期も勉強したての頃にはありました。 長く植物と付き合っているとそれが誤りであることがよく分かります。 雪国の植物たちは長い冬の間、雪の下でじっとエネルギーを溜め込むんですね。 溜めて溜めて短いシーズンで一気に爆発させるんです。 バラなどは最も鮮明に発色します。 宿根草やグラス類の風にそよぐ姿の美しさは北国が最も似合います。 冬に宿根草は地上部を枯らし、雪の上に立ち枯れて残るグラスに風情を感じます。 毎年葉を落とす落葉樹には常緑照葉樹にはない繊細な葉のシルエットと美しい樹姿があり、クリスマスツリーのような常緑の針葉樹の枝に雪が積もる様子は、雪の降らない国で暮らす方には憧れの景色です。 雪のシーズンは植物にとって決してオフでないことを知りました。 日本は国土は大きくなくとも南北に長く、先述のハーディネスゾーンも北と南で全く異なります。 それだけ植生も多様でそれぞれの美しさがあるということ。 この国が美しいこと 当たり前と思わずしっかり守っていきたいですね。